福岡市美術館は2016年9月よりリニューアル工事のため休館しています。
リニューアルオープンは2019年3月を予定しています。
 
 ■ コレクションの概要  

  全体は約1万4千点です。大きく古美術と近現代美術に分けて収集、管理しています。 古美術は多く寄贈コレクションによって形成されています。開館時には市内の寺院、江戸時代の福岡藩主の資料、近代の財界人など郷土に関係する方々によって収集された美術作品を寄贈いただきました。金印など一部は福岡市博物館に移管しましたが、重要文化財48点を含み、常設で仏像を展示する美術館としても特筆されます。その後も国内ほかアジアの特徴ある古美術作品などを収集しています。
 近現代美術は購入を主体として収集してきました。近現代の九州・山口地域をはじめ日本の代表作家、ほか日本の洋画に大きな影響を与えたラファエル・コラン、さらに20世紀の重要作家、たとえばダリ、ミロ、シャガール、デルヴォーなどの代表作品を収集しました。本館の特色であったアジア近現代美術コレクションは福岡アジア美術館に移管しましたが、数多くの寄贈作品も加わり一層の充実がはかられています。

 
 
 ■ 主な寄贈コレクション  

 近現代美術  古美術  太田コレクション

  1977年開館準備中の福岡市美術館に寄贈された、福岡市出身の実業家第5代太田清蔵氏(元東邦生命会長)旧蔵の美術作品383点[古美術141点、近現代美術242点]。青木繁《「黄泉比良坂」習作》、生前親交のあった和田三造《博多繁昌の図》、児島善三郎の油絵など近代の洋画・日本画・彫刻・工芸、伝・狩野元信の《豊干・寒山拾得図》をはじめとする近世の絵画・書・工芸が含まれています。

 


青木 繁《「黄泉比良坂」習作》 1903年頃
 
 古美術  東光院仏教美術資料

 旧福岡藩主黒田家の菩提寺のひとつであった真言宗寺院・薬王密寺東光院(福岡市博多区吉塚)より寄贈された、同寺旧蔵の仏像・什宝類。本尊《薬師如来立像》、二組の《十二神将像》、慶派仏師の手になる《日光菩薩像》など、平安時代から鎌倉・南北朝時代までの25躯が国指定重要文化財で、それらは「東光院仏教美術室」(一階)にて順次展示しています。その他、《十二天像》(県指定文化財)や《涅槃図》といった仏画類もあり、年に一度公開しています。
  日光菩薩像(部分) 鎌倉時代
 
 古美術  黒田資料

 旧福岡藩主黒田家には、藩祖黒田孝高以来の貴重な資料が多数伝来していました。それらは当館の開館に先立ち、御当主黒田長禮氏の遺志を受けた茂子夫人のご厚意により、福岡市に託され広く市民に公開されることとなりました。《泰西風俗図屏風》や《源氏物語系図》、《波文螺鈿鞍》などの重要文化財のほか、《唐物肩衝茶入「博多文琳」》などの名品を含む、440点(一部購入、一部寄託)が収蔵されています。

  泰西風俗図屏風(部分)
桃山時代
 
 古美術  松永コレクション

 松永安左エ門氏は明治8年長崎県壱岐で生まれ、戦後の電力再編事業を通して日本の発展に寄与しました。「近代の三茶人」と称され、戦後自ら松永記念館を開設し、茶道具、仏教美術などを公開しました。松永記念館解散後に収蔵品は当館に寄贈され、野々村仁清作《色絵吉野山図茶壷》、尾形乾山筆《花籠図》などの重要文化財20件を含む371点のコレクションが、随時「松永記念館室」で公開されています。

  野々村仁清作 
色絵吉野山図茶壺
江戸時代前期

 
 古美術  石村コレクション

 博多の菓子舗石村萬盛堂の社長であった石村善右氏(1908-1979)が収集した仙高フ書画と工芸品計96点。軽妙でユーモアあふれる禅画の数々。禅に傾倒し、仙高愛した氏のコレクションは、名作といわれる《指月布袋図》、《円相図》などの重要作品とともに仙高フ手紙や書籍目録など貴重な資料を含んでいます。

 

仙豪`梵筆 指月布袋図    
江戸時代


 
 古美術  森山コレクション

 森山馨氏は明治37年に現在の福岡県小郡市に生まれ、一代で西日本屈指の繊維企業を築いた経済人です。森山氏は自ら入札会に出向くほどの熱心な収集家で、コレクションには広い時代にわたる中国・日本の美術の名品が揃っています。中国美術では《管耳壺》(殷時代)、伝・沈周筆《山水図》、日本美術では土佐光起筆《源氏物語図屏風》、田能村竹田筆《高士喫茶図》のほか、冨田溪仙の作品など57件を自ら精選され、開館の2年後当館に寄贈されました。

  土佐光起筆
源氏物語図屏風(部分)
江戸時代
 
 古美術  三宅コレクション

 郷土の禅宗史研究者であり、山頭火とも交流した俳人でもあった三宅酒壷洞(安太郎)氏(1902-1982)が収集した仙高ニその交友の書画など31点。酒壷洞氏は仙高よく知り、またその書画をよく鑑定しました。コレクションは仙高フ初期作品や《竹図》などの優れた作品ほか斎藤秋圃、桑原鳳井、二川相近ら仙高フ交友との競作を含みます。

  仙豪`梵筆 竹図  江戸時代
 
 古美術  クスマ・コレクション

 ジャカルタ在住のエイコ・アドナン・クスマ氏は、バティック(インドネシアの更紗)のコレクターとして世界的に著名です。ジャワ島のバティックをはじめとし、収集はインドネシアの大小さまざまな島の布へ発展しました。インドネシアと日本の架け橋として、双方にコレクションを残したいというご意志のもと、当館にはジャワ島のバティックとスマトラ島の染織を中心に513点の作品が収蔵されています。

 

生命樹文様刺繍 インドネシア  19-20世紀

 
 古美術  本多コレクション

 大阪の医師で、東南アジア美術の研究家でもあった本多弘(ほんだひろむ)氏(1918-2005)ご夫妻より寄贈された756点のコレクション。東南アジア陶磁史において重要な位置を占めるタイ、ベトナム、クメール、ミャンマーの古陶磁の優品が体系的に集められているのが特徴で、中国の交趾焼(こうちやき)、インドシナ半島各地の漆器・金工品なども含まれます。

 
白褐釉刻花龍鳳凰文水注
タイ  15世紀

 
 古美術  森田コレクション

 福岡県久留米市の出身で神奈川県在住の会社経営者・森田曉(もりたさとる)氏より寄贈された、中国陶磁を中心とする336点のコレクション。全体の7割を占める中国陶磁は、新石器時代の土器にはじまり、戦国・漢・三国・南北朝・隋・唐・宋・金・元・明・清と流れる各時代の典型作を網羅的に集め、中国陶磁史のダイジェストを見るような作品構成に特徴があります。その他、インダス川流域の土器類や、イラン・中央アジア地域などの遺物も充実しています。

 
三彩蓮葉雲雁文三足盤 中国
唐時代・ 8世紀
 
 古美術  川村コレクション

 大阪在住の弁護士・川村俊雄氏より寄贈された、300件の仏教美術コレクション。その大部分をなすのはインドシナ半島の(せんぶつ:土を型押しして成形した浮き彫り状の小さな仏像)で、現在のタイ、カンボジア、ミャンマーの領域にかつて展開した各王朝時代の作例が網羅された、国内に他例をみないコレクションです。

 
転法輪印仏陀坐像 ミャンマー  7-9世紀

 
 近現代美術  西本コレクション

 和歌山市在住の西本宏氏より寄贈された、近現代美術のコレクション。ビュッフェ、コルヴィッツ、織田広喜、平野遼、など人生の憂愁を色濃く描き出した具象作品が中心ですが、タピエス、李禹煥、菅井汲など、抽象作品も含まれます。西本氏の人生を反映した油彩、版画、彫刻など1538点です。

  ケーテ・コルヴィッツ
《死と女とこども》 1910年


 
  近現代美術  藤森静雄コレクション

 東京美術学校在学中に同窓の友人である恩地孝四郎、田中恭吉と発行した版画と詩の同人誌『月映』(つくはえ)で知られる藤森静雄(1891-1943)は福岡県出身の版画家です。以後、その制作や版画同人誌の編集などの活動を通じて創作版画の発展に寄与しました。当館では1982年に回顧展を開催したご縁から、ご遺族のもとで大切に保管されてきた作品や資料1056件の寄贈を2001年に受けました。版画作品のほか、油彩画、水彩画、スケッチ、写真アルバム、全国の版画誌や版画家仲間たちの年賀状などが含まれています。素朴な詩情をたたえた藤森の作品の魅力とともに、創作版画の歩みをも伝えてくれるコレクションです。

  藤森静雄《新東京百景
愛宕山放送局》 1929年